岬町・深日1号やぐら解体
- 平成19年12月9日日曜日 -


昨日は自町保存会,若頭会,年番,青年團合同の忘年会で、家に帰ったのが1時30分、2時に就寝しましたが今朝は岬町・深日1号やぐら解体を見に行くので興奮して7時前に目が覚めてしまいました。 (^^ゞ 結局8時30分に家を出て9時前に現地に到着しました。深日1号のやぐらは去る10月21日(日)の昇魂式以来です。尚、"新"深日1号(先代下出)やぐらは既に搬入済みなので、解りやすい様に解体されるやぐらを「旧深日1号」、搬入済みの先代下出のやぐらを「新深日1号」と称します。



9時前に到着しましたが、旧深日1号のやぐらはブルーシートが被ったままでした。
現地では「泉州の祭り」管理人:半田さん初め、色々な方々がいらっしゃいました。


やぐら部屋が開けられ、新深日1号と深日2号の2ショットを初めて見ました。


左が新深日1号、右が深日2号です。


9時15分、いよいよブルーシートをはずしてます。


徐々に旧深日1号のやぐらが見えて来ました。


旧深日1号のやぐらです。このやぐらとは約2ヶ月ぶりかなぁ〜。


鬼板は新深日1号へ取り付けられるので、既に旧深日1号から外されてました。


太鼓も取り外されてました。


やぐら部屋前で解体する様で、そこまで運ぶために轅(ながえ)を取り付けてます。


まずはバックしてます。
自町だったら「もっせー、もっせー」って言ってるかな?


ここまでバックして向きを変えます。


おっとっ!勢い良く走って来ました!


後ろ姿です。


もう1回正面から撮影できました。 (^_^)v


いよいよやぐら部屋前に到着。


旧深日1号と新深日1号、深日2号の3ショットです。
旧深日1号は先々代新町、新深日1号は先代下出、深日2号は先代大西町と、
いづれも阪南市出身のやぐらなんです。


ここでUターン。


この場所にて解体される様です。


何だか胸が詰まる思いです、涙がでそう…。 (>_<)
僕でそうだったら、深日の方ってどんな気持ちなんでしょうか?


轅(ながえ)が取り外されました。
何だか頭を下げてうなだれてる感じがします。


いよいよユニックが出てきて解体が始まりました。
これ以降の様子は、あまりにも酷いので割愛させて頂きます。
解体は概ね大屋根-桝組部分、大屋根幕板部分、小屋根-桝組部分、小屋根幕板部分、
板高欄部分、最後に梶台と駒の分離と行われました。

ともあれ約百年近くも曳かれ続けた旧深日1号のやぐら、
そもそも新町のやぐらとして新調されたにも関わらず、
道幅に会わないと言う理由でわずか1,2年で深日へ嫁がれた可哀想なやぐらでもあり、
深日で重宝された幸せなやぐらでもあります。
ホンマに、ホンマに、お疲れ様でした。
(ToT)/~~~




旧深日1号のやぐらの詳細です。

旧・深日1号 (浜) (ふけ1ごう・岬町深日地区)
 ・新調:不明
 ・大工:不明
 ・彫師:不明
 ・彫物:下記「彫物図柄解説」参照
 ・本幕:不明
 ・宮入:国玉神社

◎ やぐらの歴史
先代のやぐらは、下孝子で解体保存されている。

◎ 旧・深日1号のやぐら
深日「浜」にあたるやぐら。新調年,大工,彫師ともに不明。このやぐらは阪南市新町より、道幅が狭いので1,2年しか使われていないやぐらを購入。提灯は白地に赤文字で「深日」。

◎ 彫物図柄解説
【大屋根廻り】
・鬼板 − 獅噛み
・懸魚 − 正面:飛龍、 背面獅子の子落し
・柱巻 − 右:昇り龍、 左:昇り龍
・幕板 − 右:巴御前の勇姿、 左:信玄と謙信 龍虎相討つ
・板勾欄 − 富士の巻狩
【小屋根廻り】
・鬼板 − 獅噛み
・懸魚 − 浦島太郎
・欄間 − 右:?、 左:坂田金時
・幕板 − 右:加藤清正 虎退治、 左:?
【本幕】
・本幕 − 正面:深日の文字、 右:加藤清正 虎退治、
        左:牛若丸弁慶 五条大橋の出会い

◎ 曳行パターン
宵宮:ところ曳き
本宮:ところ曳き、国玉神社へ宮入


本幕のある時には見えなかった正面板高欄です。


右板高欄です。


左板高欄です。


解体中の大屋根の基礎から、「ウヲリ」と書いた文字が発見されました。
一体どんな意味があるのでしょうか?


解体中、時間があったので新深日1号と深日2号のやぐらをチェック。


新深日1号のやぐらの詳細です。

新・深日1号 (ふけ1ごう・岬町深日地区)
 ・新調:昭和61年 (同年9月7日入魂式)
 ・大工:吉岡利一氏
 ・彫師:木下頼定氏
 ・彫物:下記「彫物図柄解説」参照
 ・本幕:不明
 ・宮入:国玉神社

◎ やぐらの歴史
先代のやぐらは、下孝子で解体保存されている。

◎ 新・深日1号のやぐら
深日「浜」にあたるやぐら。昭和61年に大工:吉岡利一氏、彫師:木下頼定氏によって下出のやぐらとして新調、同年9月7日日曜日に波太神社にて入魂式を挙行しました。主な彫り物は太閤記・根来合戦記を題材としています。平成19年10月28日日曜日に神上式(昇魂の儀)を実施、同日深日1号へ搬出されました。

◎ 彫物図柄解説
【大屋根廻り】
・鬼板 − 獅噛み
・懸魚 − 正面:鳳凰、 後ろ:雲に鶴
・車板 − 正面:柴田勝家 勇力、雲に富士
・枡合 − 正面:牛若 弁慶五条大橋の出会い、 右:新田義貞 稲村ヶ崎宝剣を奉ず、
        左:楠公子別れ 桜井の駅
・欄間 − 左:堀尾茂助 勇力、 右:?
・柱巻 − 左:昇龍、 右:降龍
・幕板 − 左:根来合戦記、 右:?
・脇障子 − 左:阿形の唐獅子、 右:吽形の唐獅子
・犬勾欄 − 正面:牡丹に唐獅子
・板勾欄 − 正面:牡丹に唐獅子、 左:倶利伽羅峠の戦い(火牛の計)、 右:?
・縁葛 − 波に千鳥
【小屋根廻り】
・鬼板 − 獅噛み
・懸魚 − 松に鷹
・車板 − 唐子遊び・雪だるま遊び
・枡合 − 正面:児島高徳 櫻木に歌を詠む、 右:曽我十郎、
        左:日吉丸 蜂須賀小六の出合い
・欄間 − 左:根来合戦記、 右:今川義元 討死す
・太鼓周り − 雲に鶴
・幕板 − 左:堀尾茂助 勇戦、 右:木津川口の合戦
・板勾欄 − 梅,松,竹,牡丹
・縁葛 − 吽形の唐獅子

◎ 曳行パターン
宵宮:ところ曳き
本宮:ところ曳き、国玉神社へ宮入


深日2号のやぐらの詳細です。

深日2号 (里) (ふけ2ごう・岬町深日地区)
 ・新調:明治時代
 ・大工:不明
 ・彫師:不明
 ・彫物:下記「彫物図柄解説」参照
 ・本幕:不明
 ・宮入:国玉神社

◎ やぐらの歴史
先代のやぐらは永らく保管されていたが平成13年に小島に譲渡し、同年9月23日入魂式。現在も曳行されている。

◎ 現在のやぐら
深日「里」にあたるやぐら。明治時代に大西町のやぐらとして新調。平成3年に大西町がやぐらを新調した際に譲受する(平成3年3月3日)。本幕は明治32年に新調したものを平成5年に上孝子より譲受し、中津靖子氏によって修復。提灯は白地に赤文字で「ふけ」。

◎ 彫物図柄解説
【大屋根廻り】
・鬼板 − 獅噛み
・懸魚 − 正面:鳳凰、 背面:鳳凰
・車板 − 正面:?、 背面:雲海
・枡合 − 正面:頼朝 朽木隠れ
・欄間 − 右:鞍馬山 牛若修業の場、 左:?
・虹梁 − 雲海
・柱巻 − 右:昇り龍、 左:降り龍
・小脇板 − 右:神功皇后、 左:?
・幕板 − 右:義経の弓流し、 左:那須与一 扇の的
本幕:正面は「深日の文字」、左右は「秀吉と賤ヶ岳七本槍」。
【小屋根廻り】
・鬼板 − 獅噛み
・懸魚 − 松に鷹
・車板 − 麒麟
・幕板 − 右:平敦盛、 左:熊谷次郎直実
・板勾欄 − 雲海
・縁葛 − 波濤
【本幕】
・本幕 − 正面:深日の文字、 左右:秀吉と賤ヶ岳七本槍

◎ 曳行パターン
宵宮:ところ曳き
本宮:ところ曳き、国玉神社へ宮入


こうやって見ると、新深日1号の方が若干背が高い気がしますネ!


僕は11時30分頃まで旧深日1号のやぐらの解体と、
新深日1号のやぐらと深日2号のやぐらを見学した後、
帰宅しました。
今日は部外者にも関わらず、暖かく接して頂いた深日関係者の方々、
非常に感謝、感謝です。
m(__)m


オマケ、やぐら部屋内には新深日1号譲渡の目録が飾られてました。
(金額欄はモザイクをいれさせて頂きました)