- 地車紹介 feat. 貝掛 -
- 2008/1/2 -






貝掛 (かいかけ・下荘地区)
 ・新調:大正時代末期
 ・大工:不明
 ・彫師:不明
 ・彫物:下記「彫物図柄解説」参照
 ・本幕:不明
 ・宮入:波太神社 (指出森神社)

◎ 地名「貝掛」の由来
貝掛とは昔盗人が葛城村神於寺の宝物である法螺貝を持ち出して当地を過ぎる時、吹きもしない法螺貝が勝手に鳴るので恐れをなして貝を松に掛けて去ったという貝掛松の伝説によります。その貝掛松は明治29年5月の大風に倒れて、今はそこへ石碑が建立されています。

◎ 先代のやぐら
先代のやぐらは若い衆が新調を願って釈迦坊川の橋の上から落として砕けてしまい、当時の各家庭へ彫り物を配ったと伝えられてます。

◎ 現在のやぐら
現在のやぐらは大正時代末期にやぐらを新調しましたが、昭和30年代に波太神社馬場先にて曳行中、曳き手が大怪我をしてしまい、翌年以降やぐらが曳行中止となりました。その際に曳かなくなったやぐらのコマを泉南市信達六尾へ売却。昭和46年に再び曳行する事になったがコマがないので当時曳行していなかった信達六尾へ再びコマを買い戻しに行った処、コマだけではなくやぐら本体と本幕も一緒に買ってくれとの事で信達六尾のコマ・本体・本幕を一括で購入し、指出森神社境内の以前のやぐらの横にあった倉庫にコマをはずし保存していましたが、昭和60年に貝掛のやぐらを修復する際このやぐらを波有手組に売却しました。つまり昭和46年頃から昭和60年までは曳かないやぐらもあったと言う事になります。で、大正時代末期に新調した現在のやぐらは、昭和46年頃から昭和59年までは右に日の丸の旗を、左に日章旗という様相で曳行していましたが、昭和60年に大修復し現在の様相となりました。昭和61年と平成16年にはコマを新調しています。また貝掛のやぐらの彫物は加藤清正の虎退治,牛若丸と弁慶,忠臣蔵が彫られてます。本幕は正面が二爪の虎、側面が竜が刺繍されてます、また提灯は白地に赤の文字で「貝掛」という文字で、正面左右に縦長で黒文字の提灯で「貝掛」と装飾しています。

◎ 彫物図柄解説
【大屋根廻り】
・鬼板 − 獅噛み
・懸魚 − 正面:飛龍、 後ろ:雲に鶴
・欄間 − 正面:赤穂義士 吉良邸討入り
・柱巻 − 左:昇龍、 右:降龍
・兜桁 − 左:「掛」の文字、 右:「貝」の文字
・犬勾欄 − 左:蓑亀、 右:蓑亀
・縁葛 − 正面:牡丹に唐獅子、 左:唐子遊び(雪だるま遊び)、
        右:唐子遊び(雪だるま遊び)
・箱棟 − 雲龍
【小屋根廻り】
・鬼板 − 獅噛み
・懸魚 − 鷲の猿掴み
・幕板 − 左:鎮西八郎為朝の大鷲退治
・箱棟 − 雲龍

◎ 曳行パターン
・パレード − パレードの日は午前中に試験曳きをし、昼頃に貝掛村中の久堀川付近にて箱作東,箱作西と合流、その後鳥取ノ荘駅上にて西鳥取上組,榮組,波有手組,そして新町と合流し7町でパレードに参加します。帰りは箱作東,箱作西と一緒に帰路につきます。
・本宮 − 本祭り1日目は午前からところ曳きと波太神社への宮入が、波太神社への宮入は鳥取ノ荘駅前に西鳥取上組,榮組,波有手組と合流して4町で波太神社へ行き宮入は西鳥取上組,榮組,波有手組,そして新町と一緒に曳行します。夜はスカイタウンロード入口(箱作駅前)で箱作東,箱作西と一緒に曳行します。
・後宮 − 本祭り2日目は午前からところ曳きをしその後箱作東,箱作西と合流し3地区若頭会のイベント「ザ・勝負やぐら」をしその後3町で箱作東の浜へ、そこで箱作東,箱作西と昼食をとり、その後下荘漁港へ曳行、夜は箱作東,箱作西と指出森神社,菅原神社,加茂神社の中の1神社へ順番に宮入りします。このいわゆる「宮当番」は指出森神社,加茂神社,菅原神社の順で宮入りし、3年に1度は宮当番が当たる計算となります。その後スカイタウンロード入口(箱作駅前)で箱作東,箱作西と一緒に曳行します。

◎ 貝掛の略年表
大正時代末期−現在のやぐらを新調。
昭和30年代−波太神社馬場先にて曳行中曳き手が大怪我をしてしまい、それ以後
             曳行休止となる。
昭和46年−やぐら曳行を再開。
昭和60年9月−やぐら修復、試験曳きを実施。
昭和60年9月−貝掛若中のハッピを作成。(青地に裏面に貝の文字)
昭和60年10月10日木曜日−数年ぶりに波太神社へ宮入。
昭和61年10月−コマを新調。
昭和63年10月−貝掛地区内の北の踊り場に御神燈のアーチを設置。
平成元年10月−貝掛やぐら部屋新築。
平成2年10月−貝掛やぐら保存会のハッピを作成。(黒地に裏面に貝の文字)
平成2年11月12日月曜日−天皇陛下御即位の礼に伴い貝掛のやぐらを曳行。
平成2年10月−指出森神社の境内を改築。
平成3年10月−貝掛若中のハッピを作成。(黒地に裏面に貝の文字)
平成3年10月−貝掛地区内の久堀川付近に御神燈のアーチを設置。
平成3年10月−箱作駅前に御神燈の提灯櫓を設置。
平成3年10月6日日曜日−阪南市の市制施行に伴うやぐらパレードに貝掛のやぐらが
             参加。
平成5年6月−貝掛青年団結成。
平成5年6月−貝掛青年団のハッピを作成。(白と黒地に裏面に貝の文字)
平成5年6月9日水曜日−皇太子陛下御成婚の礼に伴い貝掛のやぐらを曳行。
平成5年10月−箱作駅前に貝掛、箱作東、箱作西各地区50個の提灯櫓を設置。
平成7年10月−指出森神社境内に御神燈のアーチを設置。
平成9年10月−貝遊会結成。
平成9年10月−箱作駅構内に貝掛、箱作東、箱作西各地区3個の提灯櫓を設置。
平成11年10月−貝掛若中、やぐら保存会、若友会、青年団統一ハッピを作成。
             (白地に裏面に貝掛の文字)
平成11年10月−貝遊会が若友会に名称変更。
平成11年10月−貝掛地区内の北の踊り場に若友会のアーチを設置。
平成13年2月24日土曜日−やぐら新調を問う住民投票を実施、賛成51票・反対73票・
             無効5票にて否決。
平成13年10月6日土曜日−阪南市・市制施行10周年記念パレードに貝掛のやぐらが
             参加。
平成14年9月−指出森神社境内に献燈の提灯を設置。
平成14年10月6日日曜日−阪南市やぐらパレードに貝掛のやぐらが参加。
平成15年10月−提灯を「貝若」から「貝掛」に変更。
平成15年10月−纏を新調。
平成15年10月5日日曜日−阪南市やぐらパレードに貝掛のやぐらが参加。
平成16年9月−コマを新調。
平成16年9月−正面の提灯を「やぐら保存会」「貝掛青年団」から「貝掛」へ変更。
平成16年9月19日日曜日−コマ新調に伴い、試験曳きを実施。
平成16年10月3日日曜日−阪南市やぐらパレードに貝掛のやぐらが参加。
平成17年10月−若友会が若頭会へ名称変更。
平成17年10月2日日曜日−阪南市やぐらパレードに貝掛のやぐらが参加。
平成18年10月1日日曜日−阪南市やぐらパレードに貝掛のやぐらが参加。
平成18年10月8日日曜日−箱作駅前が使用不可となり、スカイタウンロード入口での
             曳行となる。
平成19年9月30日日曜日−阪南市やぐらパレードに貝掛のやぐらが参加。

◎ その他の補足
貝掛のやぐらは地元の指出森神社と石田の波太神社の2社へ宮入する珍しいやぐらで、以前指出森神社の氏神が波太神社へ合祀されたのがその由縁だと言われています。

◎ 貝掛関連サイト
・阪南市の祭・やぐら → http://yagura.cool.ne.jp
・優雅・伝統・秋祭り → http://sazern9.fc2web.com/

   …

 昭和58年10月吉日
大修復前のやぐらです。

 昭和60年9月吉日
大修復時の記念写真です。

 平成16年9月19日
コマ新調記念試験曳きです。