- 地車紹介 feat. 尾崎宮本町 -
- 2019/5/12 -






阪南市のやぐらの紹介文を【推敲】し改めて御紹介する「地車紹介」、今回は尾崎宮本町のやぐらを御紹介します。ちょうど1週間前、駒新調試験曳きを行った尾崎宮本町、改めてこのやぐらを御紹介しようと思います。







尾崎宮本町 (おざきみやもとちょう・尾崎地区)
 ・新調:平成5年(同年9月19日入魂式)
 ・大工:成尾義一師
 ・彫師:木下彫刻工芸
 ・本幕:川島織物
 ・太鼓:太鼓正
 ・宮入:波太神社



◎ 地名「尾崎」の由来
地名は尾里の先であることに由来します。また下出より移住した11軒に始まると言う言い伝えもあります。旧尾崎村は海に面し遠浅の海岸は早くから海産物の集積場として栄え、江戸時代初期には現在の町の基礎がつくられました。その後昭和14年6月に村は町制を施行して尾崎町となり、その後昭和31年9月には西鳥取村,下荘村と合併し南海町となりました。その際、南海町尾崎となるべきでしたが旧尾崎町民の思いは尾崎町こそが本来の町だと言う事であえて町の字を地名に残しました。またやぐらは昔は北出,南出,相生(2〜3台),本町,天王町,西出,海老野とあったと伝わります。

◎ 地名「宮本」の由来
本来尾崎宮本町は天王町と本町が合併した際に町名変更の会議を行い、当地に尾崎天王社が所在しているので「宮本」に決められました。

◎ 先代のやぐら
尾崎宮本町は天王町と本町の2台のやぐらがありましたが、尾崎宮本町として合併の際1台は近隣の町へ譲渡、もう1台は尾崎公民館の地にあった映画館経営の個人が購入し一部の彫り物を残し解体売却しました。その後、先代のやぐらは昭和11年頃に地元の大工:辻幾次郎師、彫師:開生a師によって新調、平成3年に洗いをかけましたが平成5年に岡本へ売却されました。

◎ 現在のやぐら
現在のやぐらは平成5年に大工:成尾義一師、彫師:木下彫刻工芸によって新調、平成5年9月19日日曜日に波太神社にて入魂式を挙行しました。また提灯は白地に赤の文字で「宮本」という文字です。

◎ 彫物図柄解説
【大屋根廻り】
・鬼板 − 獅噛み
・箱棟 − 雲龍
・懸魚 − 正面:天の岩戸、 後面:神武天皇東征 【神話伝説】
・車板 − 正面:宝珠を掴む青龍、 後面:竹に虎
・飛檐垂木 − 菊紋
・地垂木 − 獅子
・枡組 − 龍,獏,獅子,牡丹 【六手先七段】
・枡合 − 正面:牛若 弁慶五条大橋の出会い、 右:平忠盛 怪僧を捕う、 左:清盛入道 布引遊覧 【源平盛衰記】、
      後面:加藤清正 虎退治 【太閤記】
・台輪 − 牡丹
・虹梁 − 菊に若葉
・欄間 − 正面:酒宴の場、 右:酒呑童子退治、 左:花園中納言の娘との出会い 【大江山】、
      後面:渡辺綱 羅生門の鬼退治 【羅生門の鬼】
・長押 − 右:向日葵に鳳凰、 左:桐に鳳凰
・柱巻 − 右:昇り龍、 左:降り龍
・小脇板 − 正面:牛若 鞍馬山修業の場 【源平盛衰記】
・幕板 − 右:富士川の合戦、 左:宇治川の先陣争い 【源平盛衰記】
・脇障子 − 右:那須与一 扇の的、 左:義経 八艘飛び 【源平盛衰記】
・竹の節 − 青海波,波太神社御神紋
・兜桁 − 町名
【腰廻り】
・犬勾欄 − 正面:敦盛を呼び戻す熊谷次郎直実 【源平盛衰記】、 平:兎
・内勾欄 − 布袋和尚と唐子 【唐子遊び】
・擬宝珠勾欄 − 勾欄合:正面右:向日葵,桔梗、 正面左:梅,菖蒲、 右:椿,薔薇,桜,梅,菖蒲,牡丹、
         左:牡丹,菖蒲,梅,桜,椿,薔薇、 束:力神
・板勾欄 − 正面:屋島の合戦 平景清綴引き、 右:巴御前の勇姿、 左:木曽義仲の最後 【源平盛衰記】
・縁葛 − 牡丹に唐獅子
【小屋根廻り】
・鬼板 − 獅噛み
・箱棟 − 雲龍
・懸魚 − 素戔嗚尊 八岐大蛇退治 【神話伝説】
・車板 − 阿吽の唐獅子
・飛檐垂木 − 菊紋
・地垂木 − 獅子
・枡組 − 龍,獏,獅子,牡丹 【四手先六段】
・枡合 − 後正面:鶴岡八幡宮 放生会、 右:布引四段目 小桜責め、 左:常磐母子 都落ち 【源平盛衰記】
・虹梁 − 菊に若葉
・欄間 − 右:曽我兄弟 夜討、 左:曽我兄弟 十番勝負 【曽我物語】
・長押 − 右:紅葉に山鵲、 左:牡丹に山鵲
・小屋根柱巻 − 右:昇り龍、 左:降り龍
・太鼓周り − 司馬温公瓶割りの場 【唐子遊び】
・幕板 − 右:梶原景時 生田の森、 左:朝比奈三郎怪力 【源平盛衰記】
・板勾欄 − 勾欄合:右:松,牡丹,菖蒲,梅、 左:松,牡丹,菖蒲,竹、 束:力神
・縁葛 − 右:仁田四郎猪退治、 左:頼朝本陣 【富士の巻狩】
【本幕】
・本幕 − 正面:「宮本町」の文字、 右:一ノ谷合戦 熊谷直實 平敦盛、
      左:宇治川先陣争い 佐々木高綱 梶原景季 【源平盛衰記】

◎ 曳行パターン
・パレード − パレードの日はまず尾崎駅前方面からパレードに合流、帰りは流れ解散をします。
・本宮 − 本宮は海老野の浜にて相生町,朝日町,大西町と合流した後、波太神社へ宮入り、夜は尾崎地区・西鳥取地区による八町パレードが行われます。
・後宮 − 後宮はところ曳き、夕刻から尾崎地区による福島パレードを実施後、新町も加わり尾崎駅前パレードが行われます。

◎ 尾崎宮本町の略年表
・昭和11年頃−先代やぐらを新調。
・昭和57年−駒を新調。
・昭和61年−やぐらを大修復。
・昭和62年−本幕を新調。
・平成2年11月12日月曜日−天皇陛下御即位の礼に伴う記念曳行を実施。
・平成3年10月−先代やぐらに洗いをかける。同時に提灯を赤地の白文字から白地の赤文字に変更。
・平成5年6月9日水曜日−皇太子殿下御成婚に伴う記念曳行を実施。
・平成5年9月19日日曜日−現在のやぐらを新調、波太神社にて入魂式。
・平成9年−やぐら部屋を新築。
・平成10年10月11日日曜日−大西町と御神輿担当に当たる。
・平成14年9月16日月曜日−屋根を大修復、波太神社にて御祓いを実施。
・平成17年10月10日月曜日−大西町と御神輿担当に当たる。
・平成18年9月10日日曜日−駒を新調、試験曳きを実施。
・平成18年10月8日日曜日−波太神社宮入り時のみ、提灯を赤地の白文字を使用。
・平成23年10月−曳行自粛。
・平成25年8月25日日曜日−駒を新調、梶台を大修復、試験曳きを実施。
・令和元年5月5日日曜日−竹安建設によって駒を新調、試験曳きを実施。

◎ その他補足事項
平成18年より波太神社宮入り時のみ赤地に白文字の提燈と正面に交差旗を掲げる様になりました。この提燈は、平成2年まで使用されていたデザインです。




先代やぐら。



先代やぐら、岡本として曳行中。



平成14年9月16日 − 屋根を大修復、御祓いを実施。



平成18年9月10日 − 駒を新調、試験曳きを実施。



平成18年10月8日 − 波太神社宮入時のみ赤地提灯が復活。



平成25年8月25日 − 駒を新調、試験曳きを実施。



令和元年5月5日 − 駒を新調、試験曳きを実施。