- 地車紹介 feat. 獅子講 -
- 2021/1/17 -






泉南市のやぐらの紹介文を【推敲】し改めて御紹介する「地車紹介」、今回は獅子講のやぐらを御紹介します。前にも書き込みましたが獅子講のやぐらって終戦からわずか6年後の昭和26年新調、当時はまだ戦後混乱期で食料もままならぬ時代にやぐらを新調した獅子講の先人達に敬意を表したい。







獅子講 (ししこう・泉南市樽井地区)
 ・新調:昭和26年
 ・大工:波有手の大工
 ・彫師:不明
 ・本幕:不明
 ・太鼓:不明
 ・宮入:茅渟神社



◎ 樽井のやぐらについて
樽井は樽井地区でやぐらをもっていず「講」組織で成り立った四講があります。また樽井の櫓には雄,雌があると言われており、獅子講が雄、宮元講が雌の上の櫓。戎福中講が雄、濱中講が雌で下の櫓とそれぞれ一対になると言われている。

◎ やぐらの歴史
先代やぐらは、元治元年/1864年8月に彫師:西岡弥三郎藤原政光師によって新調されたと考えられる。この先代のやぐらは、昭和25年9月3日上陸のジェーン台風によってやぐら小屋ごと倒壊し焼却。

◎ 現在のやぐら
昭和26年、大工:阪南市波有手在住の大工、彫師:不明によって新調。ただし、西岡弥三郎藤原政光師によって彫られた彫物4点(大屋根正面懸魚,正面欄間,小脇板2枚)は先代やぐらの彫物を使用。平成14年に大工:味園建設によってほぼ新調に近い大修復を実施、同年9月29日に入魂式を実施しました。この際、獅噛みのみ白井秀紀師が彫り、彫り物の修復を含め他柱巻,縁葛等新調された彫り物は木下彫刻工芸が細工する。やぐらの寸法は長さ10.00m、幅3.50m、高さ4.60m。提灯は正面、屋根周りともに「獅子講」。

◎ 彫物図柄解説
【大屋根廻り】
・鬼板 − 獅噛み
・箱棟 − 雲海
・懸魚 − 正面:松に鷹、 後面:梅福仙人
・飛檐垂木 − 菊紋
・地垂木 − 菊紋
・車板 − 正面:雲龍に竹に虎、 後面:雲龍に竹に虎
・枡組 − 三手先四段:龍,唐獅子
・枡合 − 波濤、 後面右のみ:雲海
・木鼻 − 上段:獅子、 下段:象
・虹梁 − 上段:若葉
・欄間 − 正面:唐獅子に手鞠、 右:波間に阿龍、 左:波間に阿龍
・虹梁 − 下段正面:牡丹、 右:波濤、 左:波濤、 後面:若葉
・柱巻 − 右:獅子の子落とし、 左:獅子の子落とし
・御簾 − 日輪に阿龍と宝珠を掴む吽龍
・小脇板 − 右:獅子の子落とし、 左:獅子の子落とし
・幕板 − 右:ケイ康,阮咸,山濤,向秀、 左:劉伶,王戎阮籍 【竹林の七賢】、 後面:竹に虎
・脇障子 − 右:張飛翼徳、 左:関羽雲長 【三國志】
・竹の節 − 青海波
・兜桁 − 「獅子」の文字
・犬勾欄 − 阿吽の唐獅子
・擬宝珠勾欄 − 勾欄合:牡丹に唐獅子、 束:「獅」の文字
・縁葛 − 阿吽の唐獅子
【小屋根廻り】
・鬼板 − 獅噛み
・箱棟 − 雲海
・懸魚 − 鳳凰
・飛檐垂木 − 菊紋
・地垂木 − 菊紋
・車板 − 波濤
・枡組 − 三段:唐獅子
・枡合 − 波間に唐獅子,波濤
・木鼻 − 獅子
・虹梁 − 獅噛みに若葉
・欄間 − 右:松に鶴、 左:竹に雀
・長押 − 梅に山鵠
・太鼓廻り − 阿吽の唐獅子
・幕板 − 右:天の岩戸、 左:天孫降臨 【神話伝説】
・擬宝珠勾欄 − 勾欄合:牡丹に唐獅子、 束:「獅」の文字
・縁葛 − 牡丹に唐獅子
【本幕】
・本幕 − 三面:無地紅

◎ 曳行パターン
・宵宮:ところ曳き、三井住友銀行前まっせー
・本宮:ところ曳き、茅渟神社へ宮入、三井住友銀行前まっせー

◎ 獅子講の略年表
・元治元年−先代やぐらを新調。
・昭和25年9月3日−ジェーン台風によってやぐら倒壊。
・昭和26年−やぐらを新調。
・平成14年9月29日−やぐらを大修復、入魂式を実施。
・平成19年8月26日−味園建設にて駒を新調、やぐら小屋へ搬入。
・平成19年9月29日−駒を新調、試験曳きを実施。
・平成21年5月3日−ブレーキパッドを交換、ブレーキテストを実施。




大修復前のやぐら。



平成14年9月29日 − やぐらを大修復、入魂式を実施。



平成19年9月29日 − 駒を新調、試験曳きを実施。



平成21年5月3日 − ブレーキパッドを交換、ブレーキテストを実施。