- 地車研究 feat. 駒の種類 -
- 2010/2/6 -






久しぶりの「地車研究」アカデミックシリーズ。第1弾−やぐらの種類、第2弾−まっせーの種類に続く第3弾は「駒の種類」を御紹介しようと思います。先日、「やぐら掲示板」にてミニ駒販売の書き込みがありましたが、その流れから今一度やぐらの駒を見直してみました。まずは駒の名称紹介から…。




さて、駒の種類を分別してみると、「標準型」「樽井型」に分別できるかと思います。なお、管理人は阪南市民ゆえに阪南市の駒を「標準型」と勝手に銘々させて頂きました。


▲ 標準型(写真は榮組の駒)


▲ 樽井型(写真は戎福中講の駒)



上記写真からも解る様に、駒の違いは下記の3点に凝縮されるかと思います。1.外輪(ソトワ)に栓が施されている、2.内輪(ウチワ)の大きさが違う、3.輻(ヤ)の角度が違う、この3点かと思います。泉州地域51台の中でも、この様な駒は樽井地区4台だけなんです。やぐらが大きいからか? それとも伝統か? 非常に疑問点を抱いてしまいます。しかしながら、平成19年に駒を新調した獅子講、それまでの駒は下写真の通り、標準型の駒なんです。一方、管理人が調べた範囲では宮元講,戎福中講,濱中講はいずれも樽井型の駒なんです。そう考えると、やはり樽井型の駒は何らかの理由で、現在の様な駒に変化したんじゃないかと推測され、標準型の駒は昔からの伝統を維持した駒じゃないかと推測されます。


▲ 平成18年までの獅子講の駒



その証拠に、全国の祭りの発祥と言われている京都祇園祭。その山車である山鉾の駒を見てみると、やぐらの様に外輪・内輪の区分はありませんが、外輪と内輪が一体化した駒となってます。標準型と非常に近い駒であり、そう考えてもやはりやぐらの駒は標準型が標準なんでしょうねぇ〜。


▲ 京都祇園祭・山鉾の駒



最後に以前、掲示板上で駒について色々書き込みがありましたが、その中でも平成19年5月24日(木)の大銀杏さんの書き込み、標準型と樽井型の違いを技術面から色々教えて頂きました。とりあえず、御参考までに当時の書き込みをコピペしておきます。なお、獅子講の駒は平成18年以前の古い方の駒の事です。



コマ情報・・・。 投稿者:大銀杏 投稿日:2007年 5月24日(木)00時28分8秒

樽井のやぐらと、その他のやぐらの標準的なコマとの大きな違いは、

1.外輪の内中央部に凸型の細工があり、これをかわした部分のセンターに後光を配置する必要があるため、「後光が吹寄せ」になっています。ただし、獅子講の現在のコマは、一般的な仕様になっていたような気がしますが・・・、じゃなかったかな?

2.後光が外輪外周部まで貫通しておらず、外輪内部で後光の欠きを入れた部分に栓を外輪を串刺しするように打って外輪、つまりはコマ全体を固定しています。このため、他の標準的なコマでは、新調時点では隣り合う外輪同士の隙間があり使用とともに外輪、内輪が鏑(かぶら)側に移動し、最終的に密着しますが、樽井のコマは、外輪が栓で固定されているため、新調時からすべての輪は密着しています。

ただ、宮元の現在のコマは樽井仕様でも少し独特のようですが・・・、後光は貫通しているのか、コマの減りを抑えるため、他地区でもよくやっているケヤキ等で埋木をしているのか? 栓も無いんですかネエ?

獅子講はこのあたりも現在の大修理後のコマは一般的仕様になっているようですが、輪は最初から密着してたんじゃないでしょうか?

管理人さんの下の写真にあるように、戎福中講やもう1つ下の濱中講、また宮元講も、鏑の面取りを大きく直線的にとった独特の形をしていますが、獅子講は、これも標準的な仕様になっていますね。



追伸、過去の「地車研究」アカデミックシリーズは下記の通りです。
・#1.地車研究 feat. やぐらの種類 → 当該ページへ
・#2.地車研究 feat. まっせーの種類 → 当該ページへ